木の周りをぐるぐる回るあの儀式(151)
- K

- 2023年7月25日
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シンガポールの公園を朝散歩しているとよく見かける光景だ。
木を中心にしてその周りを構えを取ったままぐるぐるとゆっくり回る。
回りすぎて丸く草が生えてこなくなっている。
そのくらい人々は回り続ける。
実に4年も前にこの光景について書いたことがある。
10年以上もこの儀式がなんなのか不思議に思いながらも、
絶対に調べないと決めてシンガポールで生きてきた。
つい先日、
調べるつもりもなかったが、ついにその話題になってしまったので、
正体を知ってしまった。
シンガポール人で、歳は自分よりいくつか上だと思う。
20年以上前に空手の黒帯であり、そこから太極拳やヨガ、
そして瞑想などにのめり込み、さらには音楽に目覚めて尺八習ってるという、
多才な人と出会ってランチしてたときのこと。
空手から太極拳の話になって色々話ししているうちに、
この木の周りを回る人々の話になった。
「あー、あれもTai Chi(太極拳)の一種なのですか?」
と聞いたら、
「あれはTai Chiではない、Ba Guaだ。」
と教えてくれた。
中国拳法の数ある家・派・門の中でも、
3大流派と呼ばれているものに、
太極拳 (Tai Chi Quan)
八卦掌 (Ba Gua Zhang)
形意拳 (Xing Yi Quan)
というものがあるそうで。
例の、木を中心に構えを取り、木の周りを360度ぐるぐる回るあれは、
八卦掌 (Ba Gua Zhang) の趟泥步と呼ばれるもの。
戦闘姿勢で円を描くように歩きながら、
中心線(木が焦点)を見失わないようにする訓練で、
八卦掌の基礎にあたるらしい。
木からエネルギーをもらい、手から丹田に落とし込む。
そういうことだ。
これ以上深入りは禁物だ。
今はとにかく空手に集中する。
10年来の疑問が解決してスッキリしたのでよしとしておく。

