全親にオススメする子供との朝カフェ(178)
- K

- 11月11日
- 読了時間: 5分
子供が中学生になると生活が一変した。
息子ふたりともそうだった。
小学生までは、学校が終われば家に帰ってくる。
家でご飯を食べるし、習い事がある日は習い事へ行く。
オンラインで友だちと遊ぶか、コンドミニアムの下で友達と遊ぶかし、
宿題を終わらせ、決まった時間に寝る。
これが中学生になると、途端に家に帰ってこなくなった。
新しい友達も増え、部活動も増え、
学校帰りに繁華街へ繰り出し、お茶をして帰ってきたり、
部活の後、友達の家へ遊びに行ったり、
晩御飯の時間も定まらない。
友達と遅くまでビデオ通話やグループトークがつながったまま。
寝る時間も放って置くと夜中2時3時になる。
友達と悪さもするようになるし、SNS上で小さな揉め事も起きるしで、
iPhoneやiPadのスクリーンタイムをオンにして管理をし始めることになった。
しかしそんなことをするだけ無駄で、子供なんて禁止されれば抜け穴を見つけるもの。
友達から古いスマートフォンをもらい、こっそりそれをWiFiにつなげて夜中に使っていたり、
夜中にこっそり友達と連絡を取り合い、家を抜け出して遊びに行ってたり。
まぁ自分の子供の頃も、悪さは一通りやってきたので、理解できない訳では無い。
しかし、ここはシンガポール。
なにか揉め事をおこせば、即ビザ剥奪で強制帰国もあり得る。
そんなこんなで子供に対して叱る・怒鳴ることが増えていった。
そんな状態で3年以上が過ぎると、
一番嫌だと思っていた親子関係に近づいてくる。
「話す時間」=「怒っている時間」
毎年2回は家族で長めの旅行に出かけ、旅行中は親子ともども全力で楽しい。
どちらかというとかなり仲の良い親子だと思う。
反抗期というものも感じられなかったし、なにか叱ることがあっても、
それを絶対に引きづらない、その場で終わらせる、という意識をしていた。
それもあって、「口も聞かない、関係の悪い親子」とは程遠い位置にいたと思う。
それでも、「話す時間」=「怒っている時間」になっていく。
学校がある時期は、もう生活スタイルがズレすぎて、
顔を合わせる時間がない。
あえてお互い確認して時間を作らないと、話す機会がない。
食事でさえ同じ時間に取れないし、
それ以外の時間は習い事や宿題や友達との遊びや会話で全てが埋まっている。
どうしても伝えなければならないことや話さなければならないことだけ、
時間をわざわざおさえて、機会を設ける。
そういう関係になっていく。
で、じゃあ、わざわざ時間を取ってまで話さなければならないことってなんなのかというと、
叱る・怒鳴るといった「子供にとって最もうざいこと」だ。
ある時、あまりにも家に帰ってこない、食事がいるかいらないかすら連絡がない、
部屋は汚部屋で、習い事もドタキャンの嵐。
それでも全ての要求を聞いてあげていたが、こちらの条件は全く守らない。
これが続いたとき、これまでのすべての要求を却下し、
断固たる決意でしばらくの外出禁止令を出し、非常に失望したことを伝えた。
まぁ当然だけど、その時の彼の取り乱しようは今まで見たことがないほどで。
しかしこちらとしては積み重なっていすぎて、謝っても全く許さなかった。
で、泣き叫ぶ彼が繰り返し言った一言が、
「もっとパパと話がしたい」
だった。
正直、そのときは「どの口が言うてんねん」と。
帰ってこないのは誰だ?
家でずっと友達と通話してるのは誰だ?、と。
そう思ったものの、こちらから彼にひとつ提案をした。
「毎週1回、時間を決めて同じ曜日の同じ時間にカフェに行くのはどうか?」
と。
そして同時にもうひとつ彼と約束をした。
「以降大人として扱うのでもう二度と声を荒げることはない。」
と。
そんなわけで、
毎週土曜日朝、長男と2人でカフェに行くことになった。
どうせいくなら毎回違うカフェを体験しようということで、
気になっていたカフェを順番に消化していくことにした。
普段カフェになど行ったことがないので、新鮮。
これが、この記事のタイトルの通り、
全親にオススメしたい習慣だ。
是非に、子供と二人きりで、毎週話をする時間を取ってみてほしい。
それも家ではなく、外で。
気がつけば毎回2時間近く、お互い話が途切れることもなく、
話し続けている。
最初の頃は長男からの質問がとまらなかった。
親がどういう人生を生きてきたか、興味があったらしい。
幼少期、学生時代、大学受験、社会人、起業したとき、失敗したとき、成功したとき、
シンガポール移住したとき、などなど全てを聞かれるがままに答えた。
こちらはこちらで、毎日ふと思い出したことや、
人生で伝えておきたいと思っていたことや、
本で得た知識やデータ、
ニュースの裏側、物事に対する考え方など、
その場でiPhoneにメモっていたことが、土曜の小ネタになっていく。
世の仕組みや、起業のやり方、株価の見方、彼女との悩みや、ファッションのことなども、
聞かれたことや打ち明けられたことに一切の隠し事やNGなく、ありのまま答えていく。
もちろん、いままでの彼の生活態度や心境などもどんどん明らかになっていく。
彼の友達の顔と名前も随分覚えた。
彼が今週何をしていたか、どんなイベントでどれほど楽しかったか、
写真を共有してもらいながらすべて話してくれ、
親に隠すことが皆無になっていった。
お互い大人同士として、先輩後輩として、理解者として、
お互いを知るにつれ、お互いをリスペクトするようになった。
夜遅くに帰って来る日があっても、事前に連絡をしてくる。
こちらが彼を信じることで、彼は彼でそれを裏切らまいとする。
いままでの甘えは気遣いに変わり、わがままは責任を持つようになった。
不思議なことに、こちらのアドバイスがどんどん聞き入れられるようになったため、
叱っていた時代の100分の1すら労力がかからなくなった。
いまとなっては彼のあの時の「パパともっと話がしたい」に大いに感謝している。
「おれに嘘だけはつくな。嘘つかれると守れるものも守れなくなるから」
小さい頃からそう言ってきたけど、いまはそれを自然と守ってくれている。
全親に毎週子供との朝カフェを強くオススメする次第だ。



