チャラになる瞬間(073)
- K

- 2020年8月12日
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何か出来ないことが、
出来るようになる瞬間のことを、
「寝て起きたら急にできるようになってた」
と思っている人は結構多いと思う。
そうなる前に、
集中して努力していた、
という前提があるわけだけど。
大抵の場合、
何回練習しても全然うまくいかなくて、
何日も何日も練習して、
上達していないのもわかっているからちょっとモチベーションも下がっちゃって。
でも、そんな毎日をいくらか過ごしたあと、
急にやってくるあの瞬間。
全てがチャラになる瞬間。
そして、全てが報われる瞬間。
スポーツをやっていた経験からして、
タイムアタックとかでは、「寝て起きていきなり」ということはないんだけど、
出来ないことを出来るようになる瞬間はだいたいいきなりやってくる。
これは子供の頃に何回か経験してしまうと得だと思う。
無理矢理でもその瞬間まで続ける環境にあれば、
必ずその瞬間は突然やってきて、全てがチャラになる。
コロナ騒ぎの自粛自粛で、
家から出ない毎日が続く中、
子供と一緒に新しいことをすることが増えて、
子供がまさにその「瞬間」を経験して、はしゃいでるのを見るに、
こちらも同じく感動させてもらっている。
まったく音が出ない、クラッシックギターのF。
まったくリズムがとれない右手のストローク。
指先の皮が柔らかすぎて、聞こえてこないハンマリング。
裏拍で入るコード展開についていけない左手と右手。
早いテンポについていけないガチガチに力んだ右手首。
ひとつひとつつまずいて、
1週間ほど進歩のないまま練習をして、小学生はメンタルが下がり気味。
でも大丈夫。
「ある日、寝て起きたら急に出来るようになってるよ」
「だいたいそういうもんだよ」
と声をかけて、待つこと数日。
子供部屋から聞こえてくるギターの音色に、
「あ、来たな、例の瞬間が」
となる。
全てはこの瞬間のために。
だいたいのことは、
「やらなくていいこと」で「辛いこと」なら「やらなきゃいいよね」ということが多い。
アマチュアのスポーツとかでいうとたいてい、そうだと思う。
じゃあ、なんでやっているのか、という答えが、
それだと思う。
その先に全てがチャラになる瞬間があってね、と。
全てが報われる瞬間があってね、と。
「寝て起きて急にできるようになる」瞬間もそうだし、
「本番で力を出し切って何かを勝ち取った」瞬間もそうだし。
その瞬間の快感はまさにヤミツキだ。
そしてそれをたくさん経験する子供時代であってほしい。



