Axie Infinityというブロックチェーンゲームでフィリピン人が生活費を稼ぐという世界線(098)
- K

- 2021年7月6日
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最近、一気に火がついたブロックチェーンゲームが、Axie Infinityだ。
このゲーム自体は新しいものでもない。
いろいろな特徴を持つAxieというモンスターを浸かって、
対コンピューター戦、対人戦を行う、カードバトルだ。
バトルを進めていくことで、Small Love Potion(SLP)という何かを集めていく事ができる。
まぁこれだけなら、普通にスマートフォンでなんらかのゲームをするのと同じなわけだが、
大きな特徴としては、このSLPという何かが、現金化可能ということだ。
要は、毎日ゲームで遊ぶと、現実世界のお金が増えていく。
といっても、少し前までは、増えていくお金は非常に小さく、
まぁ子供の小遣い程度かな、といった感じだったのだ。
その程度の感じなら他にも現金化できるゲームは昔からあるし。
それが一気に騒がれ始めたきっかけのひとつは、
大手仮想通貨取引所であるBinanceに、このSLPというトークンが上場したことだ。

CoinMarketCapのサイトでチャートを見てみると、
それまでは全然おもしろくない価格だったことがうかがえるSLP。
0.1ドルを下回る、いや0.03ドル付近をうろうろしたりしていたのだが、
どかんと10倍の価格に釣り上がり、
落ち着いてきた今でも、0.15ドル程度をうろうろしている。
こうなってきちゃうと、
子供の小遣い程度 → 馬鹿にならないバイト
といった程度稼げるようになってしまったのだ。
実際、少し真面目にやれば、2週間で350米ドルほど稼げてしまうし、
本気でやれば、もう少し稼げる。
これは、月でいうと700-800米ドル。
シンガポールドルでいうと、月に1,000ドル以上稼げてしまうゲームになってしまったのだ。
それで火がついてしまった人、いや、火がついてしまった国がある。
そのひとつがフィリピン。
ここシンガポールではお手伝いさんを住み込みで雇っている人が多い。
共働きが多いからだ。
フィリピン人やミャンマー人のお手伝いさんを雇うことはごく自然であり、
我が家もミャンマー人のお手伝いさんを雇ったこともあるし、
数年前までフィリピン人のお手伝いさんを雇っていた。
彼女の給料は、月600シンガポールドルだった。
これは安い方で、800ドル程度のフィリピン人が多いと思う。
未経験だと安くなったり、という市場だ。
日曜日は基本、お休みだが、月曜日から土曜日まで住み込みで働く。
掃除や洗濯、子供の送り迎え、食品の買い出し、留守番、食事を作るお手伝いさんもいる。
フィリピンに住んでいる家族を養うために働いている人が大半だ。
長期間、家族と離れ離れになるが、稼ぎのいいシンガポールに出稼ぎに来ているわけだ。
そこに、Axie Infinityというブロックチェーンゲームがドハマリしたわけで。
なぜなら、
家族と一緒にフィリピンにいて、寝転びながらスマートフォンでゲームをしているだけで、
シンガポールに出稼ぎに行くのと同じくらい、もしくはそれ以上に、お金を稼げてしまうのだ。
この動画を見るとリアルになる。
皆我先にとこのゲームをスタートするだろう。
貧困問題を抱える国であればあるほど。
だがそこに一つ問題がある。
それは、このゲームをスタートするには、
Axieというキャラクターを必ず3体購入する必要があるからだ。
昔々は安かったこのキャラクター(5ドルとかだったような)も、
今現在、200ドル前後。
3体揃えるとなると、少なくとも500-600ドルの先行投資がひつようとなるわけだ。
この先行投資額は、貧困国では高額にあたる。
なので、簡単にスタートすることはままならない。
その問題を解決してしまう方法がScholarship(スカラーシップ)というものだ。
これはなにか、というよりも、
実際見たほうが早い。
Axie Infinityのサイトから公式Discordに参加してみるとすぐわかる。
公式Discordに入るとたくさんある板の中に、Scholarshipという板がある。
そこをみれば、毎分10件以上のペースで、
「私をSholarにして!」という書き込みがじゃんじゃん流れていく。
自己紹介のあと、
私は、毎日150-200SLPを集めます!
WiFiの電波はバリバリです!
といった内容の書き込みが続く。
彼ら、彼女らは、皆、Axieというゲームがやりたいのだが、
初期投資が出来ないのだ。
だから、Axie3体を貸してくれるマネージャーを求めているのだ。
例えば、日本人が5つくらいアカウントを作る。
そこに3体ずつAxieを用意する。
そのアカウントをフィリピン人に貸してあげて、
Axieをプレイしてもらう。
プレイすることで月に4,500-6,000SLP程度集まる。
その集まったSLPを、フィリピン人に3割送ってあげる。
6,000SLPはいま時点では900米ドル。
そのうちフィリピン人の取り分は300米ドル程度。
彼らにとっては少なくない稼ぎとなる。
一方で、5つアカウントを作った日本人は、
600米ドル 5人分、 合計3,000米ドル。
これってもう、サラリーマンの月給並みになってくる。
初期投資分も1ヶ月半もあれば回収でそこからは利益しかない。
なんという投資効率。。。
3ヶ月程度で投資したお金が2倍になって返ってきてしまう計算だ。
まさにWin-Winな関係、
それがScholarship制度なわけだ。
現実に、ひとりで20アカウントとかを管理しているManagerもいる。
組織で何百アカウントを管理しているギルドもある。
そして、Scholarが殺到し、Managerが圧倒的に足りていないという状況。
これはなかなかおもしろい社会現象だなぁ、と、
今日もSLPを貯めながら、思う。
もちろん、このままSLPが価格を維持し続ける保障などないし、
崩れるときは一気に崩れる可能性もある。
その時は初期投資の回収が出来ない、というタイミングの悪い人も出るはずだ。
だけど、DeFiに多少詳しくないと、このAxieの世界に入り込むことは出来ないことから、
Managerが一気に増えるとも思えない。
DeFi周りはまだまだ普通の人にはとっつきにくいし、怖いものだからだ。
シンガポールに出稼ぎするよりも、
フィリピンで家族と一緒にAxieやるっていうフィリピン人も増えちゃうよね。
4人家族なら、3割の報酬でも1,200米ドルほど稼げちゃうし、
やさしいManagerが5割渡せば、1,800米ドルだ。
フィリピンではまぁまぁな裕福な暮らしができる。
なんとおもしろい時代に生きている。

ちなみに、Axieは複垢禁止だ。
ひとつの端末で複数のアカウントでSLPを集めるとBanされるそうです。


