top of page

持ち物を増やすデメリット(084)

  • 執筆者の写真: K
    K
  • 2020年11月13日
  • 読了時間: 7分

いわゆるミニマリストという人たちが増えたそうだけど、

自分がミニマリストだという自覚もないし、きっと違う。


でも、モノが増えることには抵抗がある。

実家に住んでいた頃はそんなことはなかった。

収集癖もあったように思う。





では、モノが増えることが嫌になったきっかけはなんだったのか。


大学を出てすぐ、一人暮らしをスタートした。

大学在学中も友人宅にほぼ寝泊まりしていたので、

実家に帰っていた記憶はあまりない。

自分の専用スペースがない暮らしを在学中にしていたこともあって、

一人暮らしをスタートしたときは、

狭いワンルームだったにもかかわらず、窮屈感など一切なく、むしろスペースを持て余していた。

このころにはすでに自分の所有するモノが少ないタイプの人間になっていた。


以降、最長で借り続けた家でも2年。

2年以内には必ず引っ越しをする、という生活が続き、

シンガポールに移住するまでの日本での生活は、引っ越すことでリフレッシュ。

引っ越しはある意味ワクワクする2年に1度のイベントごととなった。


とにかく同じ場所に住みたくない。

飽きる。

面白いな、と思った場所にすぐ住みたくなってしまう。

それはシミュレーションRPGのごとく、

住んだ街は、自分の街になっていく感覚だ。


2年も住めば、そこは地元のような感覚だ。

常連となっている店もでき、友人もでき、どこになにがあるかほぼ把握できていて、

目をつむっても歩ける気分だ。


そうなると次の街へ興味が移り、またそこにしばらく定住する。

そんなことを繰り返して、いろんな街が自分の街になっていった。


さぁ、そんな生活を繰り返す中で、プロ級になっていったのは、

引越し前のパッキング時における、「いる」「いらん」作業だ。

世間では、いまでは「こんまり」という言葉に置き換わっている作業だ。


片づけコンサルタント、近藤麻理恵さんの「こんまりメソッド」は、

一言でいうと、

ときめくものを残し、そうでないものを捨てる、という作業だ。

これと同じ作業を、20代の自分は2年おきに実践していたことになる。

ただ、ときめくかときめかないか、という右脳を使う作業よりも、

2年の間で使ったか使ってないか、という左脳を使う作業を優先していた。

「この家に来てから1回も使わなかったものは問答無用で破棄」

を前提にして、

「数回は使ったかもしれないが特に未練がないものも破棄」

する。


こんなことを繰り返しているうちに、何度目かの引越し時に、

「これ前もパッキングしたな」

という物が出てくる。

頻繁に使っているのに、壊れもせず消耗もせず存在している、ということだ。

「これがなしでは生きていけないのだろうか」という疑問が出てくる。

なぜなら、壊れもしないし消耗もしないのだから一生自分につきまとう可能性があるからだ。

「なしでもいいかもしれん」

少しでもそう思ったものは、破棄ということになっていった。



こんなことがきっかけで、モノが増えることに対するネガティブな感情が出来上がった。





「モノが増えることが嫌」というタイプの人間になってよかったなと思う点を上げるとすると、

モノを買う前に一呼吸するようになったことだ。

今までの人生でモノを捨てに捨ててきた。

あれもこれも捨てまくり、引っ越しのたびに大量のゴミを排出してきた。

その中で何の感情もなかったわけではない。

やっぱりなんか、もったいないな、とか、惜しいな、とかいう名残の感情があったのは事実だ。

それがあったからこそ、モノを買う際に、ひとつの感情が生まれることになった。

言葉遣いによる誤解を恐れずに言うと、

「ゴミを買う」

という感情だ。


コレクション系アイテムは別として、

ほとんどのモノはどうせいずれゴミになる。

すぐゴミになるか、いくらか時間が経ってからゴミになるか、そこに差はあれどゴールはゴミだ。

そう考えるようになって以来、本当に欲しいかどうか、

ゴミになるまでの期間、

大切にできるか、使って使って使い倒せるか、などを自問する。

不思議なことに、買うモノが面白いほど減った


派生して、食べモノに関しても、本当に役に立つものに金を使いたいと思うようになった。

どうせ便になる。

美味しいモノが好きなので美味しいことは大切にした上で、

便になるまでの期間、

自分の体の中で最大限役に立つ食べモノなのか、と自問する。

不思議なことに、毎日食べたり飲んだりしていたものを、欲しなくなり、

別の食べモノ、飲みモノにシフトした。


この結果を見れば、

「モノが増えることが嫌」というタイプの人間になってよかった、と思う。





それでも、必要ないモノを捨てられない、必要ないモノを増やしてしまう、

とよく言われる。

そんなときには、モノが増えることのデメリットを意識するといいと話している。


モノが増えることのデメリットはいくつもあると思うが、

ひとつは、永遠にかかり続けるコスト、だと思う。


子供の部屋に、

小さい頃から増え続けていった絵本や漫画のたぐいの山、

おもちゃや元おもちゃだった残骸のたぐいの山、

などを見たとき、

とても強く思ったものだ。


何に家賃を払っているんだろう?


子供が快適に過ごすスペースを確保するために広い子供部屋のある家を借りたのに、

その部屋は、これらのたぐいの山で埋め尽くされている。


二度と遊ばないであろうおもちゃや、

次いつ開くかわからない絵本や漫画に毎月場所代を払っているのか。


遊ばないおもちゃは年下のお友達の元へ。

絵本や漫画で残しておきたいものはPDF化してiPadへ、それ以外は同じく年下のお友達の元へ。

想定していたスペースが戻ってきた。


(少し脱線すると、本のPDF化や写真のデータ化にアレルギーのある人が一定数いる。

実家に赤ちゃんの頃からの写真がたくさん詰まった重たい分厚い写真集が数冊あった。

写真集に入っていない、現像されたときの封筒に入ったままの写真も山程あった。

ある時、実家を整理しなければいけないタイミングで、これらをすべてデータ化してしまうことを、

親兄弟に提案したら、なんと反対された経験がある。

古いタイプのアルバムは、薄く糊の付いた台紙に透明なフィルムがあり、その間に写真を挟み込むタイプ。

劣化で剥がれなくなっている写真もあり、データ化したあとは元に戻れないだろう。

それが反対の原因だ。

でも、考えてみて欲しい。

遠い田舎の実家にあるアルバムを、実家を出てから一体何回開いたのだろうか。

整理されていない写真などに至っては、一度も見ていないことは明らかだ。

しかも実家にそれがあったところで、その場に行かない人は見れないのだから。

友達に見せることもできない代物だし、子供に見せたいと思ったタイミングでも見せることは出来ない。

でも大手クラウドサービスでデータ化された写真を皆で共有しておけば、

皆好きなときにいつでも見ることが出来て、よっぽどその写真を活用して大切にすることができる。

一度整理してしまえば検索も簡単だし、劣化もないし、

もしも実家が火事にあったとしても燃えてなくなることもない。

で、反対を押し切ってデータ化した今、みな喜んでいるのは言うまでもない。

話を戻そう。)


モノが増えるということは、

その分の倉庫を借りているのと同じだ。

モノを持っているだけで、コストがかかっているという感覚をもつことだ。

所有しているだけだからタダ、ではないということだ。

読みもしない雑誌の山のために家賃を払っている、と考えると嫌になるだろう。

(もちろんデータ化した写真を保管する有料サービスなど契約するとそっちのコストはかかるが、

 安さと利便性は比較するまでもない。)


昨今で言うサブスクリプション契約が増えていき、毎月のコストが上がっていくように、

モノが増えていくことで、毎月のコストも上がっていく。

しかもそのモノは劣化し価値は下がっていくかもしれないのに。


これは日本で持ち家を持つ感覚に似ている。

持ち家を買った瞬間から、その上モノの価値は下がっていく。

土地が上がればいいが、それも今の日本ではなかなかないだろう。

なのに、税金は毎年かかってくる。

日本で賃貸を好んでいた理由とモノを所有したくない理由はそういった点では共通だ。

もちろん住む以外の不動産なら話は別だけれども。





シンガポールに移住してからは、少しは引っ越し癖は落ち着いた。

とはいえ、10年間で4つの賃貸物件を経験している。

シンガポールが狭い国なことや、家族構成とその年齢は影響していると思う。

独り身であればたぶん、2年以内ごとに家を変えていたかもしれない。

いや、独り身なら、2年以内ごとに住む国を変えていたはずやな、間違いない。



ree
この池の向こうはシンガポール動物園。雨季のに入ったシンガポール。






2AC9FD50-42E1-4BEB-9373-8A74B9076748.JPE

自分にも40歳がやってきた。

We don’t stop playing because we grow old;

we grow old because we stop playing.

​​何かを始めるには良い歳だ。

© 2019 Time to move on. - 40歳がやってきた

bottom of page