銀行ってもう必要ないかもしれない(106)
- K

- 2022年4月14日
- 読了時間: 6分
更新日:2022年5月10日
2年前にコロナ禍に入ってからというもの、
家から出られない日々が続いたことで、
毎日多くの時間をパソコンの前で過ごした。
銀行ってもう必要ないかもしれない(106)
何か新しいことをやってみようと思い、
2020年当時、DeFiの世界、Web3.0の世界に入ってみた。
まだ当時はネット上にも情報が少なく、
触っている人も周りに誰もいないような状態だったので、
ひとつひとつ手探りだったけど、
時間はたっぷりあったので、のめり込んだ。
2020年の終わり頃、仮想通貨(Crypto)の世界に春が来て、
ビットコインを買います、みたいな人が増えた頃、
DeFiの世界にもバブルが訪れた。
当時はいわゆる非中央集権の取引所である、DEX、
簡単に言うといろいろなTokenをSwapできるサービスが主流で、
Pancake Swapあたりが、可愛さで人気爆発した記憶がある。
Stakingだ、Farmingだ、でガバナンストークンが毎日降ってくる。
いや、毎秒降ってくる世界。
2021年初頭から春くらいまでのDeFiの世界の運用利回りは、
もう完全にバグっていたので、
USD(厳密に言うとUSDに担保されたToken)を預けておくだけで、
利回りは年利30%とかが当たり前だったし、
波に乗れば年利100%以上のプロジェクトを渡り歩くことも出来た。
いまは、このあたりの利回りも落ち着いてきて、
おおよそ5-10%程度の年利になっている。
でも考えてみると、これもずいぶんな年利だ。
USDを預けておくだけで、インデックス投資以上の利回りがつくなんて、
なかなか魅力的で抜け出せない。
もちろん、ハッキング等のリスクはあるわけだけど。
そして、いまやもう取引所的なサービスだけではなく、
レンディングやレバレッジ系やオプション系などなど、
DeFiの世界で一通りのことが出来てしまう。
もう一般人が銀行に求めるサービスはDeFiの世界で完結してしまっている。
そんなおり、
果たして銀行の存在意義とは?
という行き過ぎた考えを持つ個人的な出来事があった。
某国の某銀行(そこそこの規模感です)にUSDの定期預金をしていた。
もう10年くらいになる。
金額は大したことはない。
理由はたまたま不動産を視察に行った際に、
USD預金金利がなかなか良かったので、ついでに口座開設して定期預金をしたというもの。
で、 米ドルの普通預金口座と定期預金口座、
現地通貨の普通預金口座と定期預金口座、
合計4つの口座を開いた。
当時からオンラインバンキングは存在したので、
その全てはオンライン上で確認できていた。
ただ、半年に一度程度、口座間で1ドルでも資金を移動しておかないと、
普通預金口座は休眠状態にされてしまう。
そして月に1度はオンラインバンキングにログインしないと、
ログインができなくなってしまい、行員にメールで連絡をしなければならない。
まぁ、その程度であれば仕方がないので、やっていた。
ただ、USDの預金金利も徐々に下がり始め、旨味もなくなってきたことや、
コロナ禍で諸外国へ行けない今、各国に銀行口座を維持しておくのは不都合すぎることもあり、
昨年、この銀行の口座から資金を全撤退しようと思って行員に連絡をした。
口座を閉鎖したいので、手続きをして、資金はすべて私のシンガポールの口座へ送金してください、と。
すると、「来店していただかないと閉鎖は出来ません」と。
いや、Covid-19の状況をご存知でしょう、と。
行けるわけ無いでしょう、と。
当たり前の返事をしてみた。
すると、行員から言われたことは、
「定期預金の自動更新を停止する旨を満期日に近づいたときに連絡してください。
定期預金が満期になった日から1週間以内に、定期預金の残高が普通預金口座に移動します。
その後、全額をオンラインバンキングでシンガポールに送ってください。
残高が0の口座は2年後に自動的に口座閉鎖になります。」
といわれた。
で、行員のメール返信が遅かったため、定期預金が自動更新されていたので、
来年まで待つことになった。
そして、今年。
言われたとおりに、事前に連絡をすると、
「わかりました、定期預金口座の残高は新たな当座預金口座に移動します」
と少し違った返事が来たが、まぁ別に問題ないのでOKした。
そして、満期日翌日、たしかに、当座預金口座が出来ていて、そこに反映されていた。
ところが、だ。
オンラインバンキングで送金しようにも、
送金元の口座としてその口座が選択肢に出て来ない。
どうなっているのか?
と問いただしたところ、驚きの回答が来た。
「2年以上なんの動きもない口座は凍結されています。」
定期預金の意味を考えてみてほしい。
普通、定期預金は預けたら預けっぱなしでそれこそ、動きなど起きるはずのない口座。
10年ほど預けていたのだから、そりゃ当たり前に動きがあるはずがない。
なのに、定期預金を解約すると、自動的に凍結するシステム。
こんなハメ技があっていいのか。
で、さんざん文句を言うも、時間の無駄なので、
「わかったから、凍結解除してくれ」
といったところ、また驚きの回答が。
「来店していただかないと凍結解除はできません」
さすがにブチギレてしまった。
去年あなたが言ったとおりに実行したのに、どういうことだ!と。
あまりに私がブチギレたので、
行員は譲歩案をようやく出してきた。
凍結解除には、来店して資金を口座間移動(1ドル程度でいい)する必要がある、
その資金移動の権限を行員に与える書類を直筆作成し、
サインをし、その書類とIDとともに、セルフィーを撮り、
それを送ってくれれば上司にOKをもらって1ドル移動させて凍結解除する、と。
言われたとおりにやるしかないので、そのとおりにした。
で、ようやく凍結解除されたのは、もうこのやりとりでおわかりの通り、1ヶ月半以上が経っていた。
さぁ、いよいよ、移動しよう、と。
そしてUSDはさくっとシンガポールに送金できた。
が、
問題は現地通貨だった。
USDにスワップしようとするも、何度やってもエラー。
そしてまた例の行員に連絡をしたところ、
「現地通貨はいま経済状況的に、一日に100ドル程度しかUSDに換金できません。」
たぶん、これまでのいろいろがなければ、まぁカントリーリスクなので仕方がないなと、
何も思わなかったことだろう。
でも、もうイライラは最高潮に来ていた。
「そうなのであれば、最初にそう言っておくべきだろう!」と。
「あなたはすぐ全額送金できると言ったじゃないか!」と。
結論、大した金額の現地通貨を持っていた訳では無いが、1日100ドルなんて、もう全額移動できるのは、
はるか先の話で、それまで毎日ログインして毎日少額をスワップすることが日課となったわけだ。
さて、このアホな話はこの某国の某銀行だったから、というわけではないのが、怖いところだ。
それこそもう何年も前になるが、香港の超大手銀行でも、似たような対応になった経験がある。
閉鎖の最後の最後など、閉鎖しに香港へ行ってシンガポールに戻ったらすぐ、また香港へ来いと言われ、
理由はサインが違うというもので、そんな訳はないと思いながら嫌々香港へ行くと、
なんと、サインの右端の部分が大げさではなく2ミリほど短かった。
これも大げさではなく、文字通り、口を開いたままポカンと行員をしばらく見つめてしまった。
サインが2ミリ違うことがどうのこうの以前に、本人が目の前でサインをしていたのに、
何を問題としているのか。
こういった経験から、もう現在の本人確認のシステムは成立していないと思うし、
現在の銀行のしきたりも成立していない。
もう、KYCもログインも、Web3.0の世界を泳いでいると、バカバカしくて仕方がないものだ。
もちろんルールを守って利用する必要はあるが、
既存金融がなくなっても生活できる未来はそう遠くないはずだ。
そして株式会社をつくる人が少なくなって、DAOでいいよねってなる人が増える未来も想像に容易い。
Covid-19のせいで2年間どっぷりとWeb3.0の世界に浸かってみて、とても幸運だったと思う。
なぜなら明るい未来が見えて、世界が激変する瞬間に立ち会えて、
ワクワクが止まらないからだ。



