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「LIFE SPAN―老いなき世界」は興味深い(079)

  • 執筆者の写真: K
    K
  • 2020年10月2日
  • 読了時間: 5分

その冒頭で、


「何が怖いかというと、絶対に死ぬということがまず怖い。

 致死率100%の病に、生まれた瞬間からかかっているようなものだ。」


と書いたのだが、まさにその考え方が正しかった、と思える本を読んだ。


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LIFE SPAN―老いなき世界


デビッド・A・シンクレア (著),

マシュー・D・ラプラント (著),

梶山 あゆみ (翻訳)










この本の著者の主張は、


「老化とは病気である」


という点。


もうこの時点で、私の心を鷲掴みだ。

なんせ、生まれた瞬間致死率100%の病気にかかっている、と考えていた自分は、

間違ってなかったということなのだから。


病気である限りは、治す方法がきっと見つかる。

それは、老いで死ぬということがなくなるかもしれないということだ。


風邪をひいたときに、

・熱が出たり

・鼻が詰まったり

・咳が出たり

するように、


老化という病気にかかったときの症状が、

・がんであったり

・心臓病であったり

するということだ。


症状に対して、「モグラ叩き」式に対処してもまた別の症状が出てくる。

だから、がんを治すとか、心臓病を治すとかではなく、

「風邪」を治すように、「老化」を治してしまえばいつまでも健康で走り回れることになる。



そしてその方法はある、と。




2015年になってすぐの頃。


「エクサスケールの衝撃」という本を読み、文字通り衝撃を受けた。

著者は今年に入って懲役5年の実刑を言い渡されているが、

本の内容は当時の自分は吸い込まれるような感覚を受けたのを覚えている。


みんながもっと自由に、やりたいことをして楽しく過ごしていけると思えるような、

実に夢と希望にあふれた、痛快な本だった。

(だけに、著者の事件は残念だが。)




その翌年には、


「ホモサピエンス全史」という多くの人が読んだであろう名著に出会い、

これまた衝撃を受けた。

本はたいてい、勉強になる箇所がいくつかあるものだけど、

この本は、勉強になる箇所が多すぎて、痛快だった。




それからここ数年は、

小さな衝撃はあったものの、

これらのときのような痛快な本には出会えずにいたけども、

この、「LIFE SPAN―老いなき世界」は、久しぶりの衝撃で気持ちいい。




なんせ昔から「150歳までは生きるつもりだ」と周りに公言してきた自分としては、

ぼんやりしていた未来の輪郭が、ずいぶんとはっきりした。

著者が150歳まで生きる人が現れるのはそう遠くないと、

エビデンスに控えめな予測を足して書いているのだから。


そして、いままで読んできた名著の内容と相まって合点の行くポイントも多かった。






この手の本特有の読みにくさはあるものの、

非常にわかりやすく、書いてくれている。


本を読むと眠くなる病の人も、是非チャレンジしてみてほしい。




内容としては、


・緊急事態(DNA損傷)対応に遠征した特殊部隊(サーチュイン)が帰還できないことが老化

・特殊部隊が帰還しないことでもとの持ち場は大混乱(細胞のエラー)

・特殊部隊に兵糧(NAD)を供給する大切さ

・特殊部隊を日頃から非常訓練しておく大切さ

・エラー部分やゴミ(老化細胞)はデフラグしたり初期化したりしてバックアップから復元可能

・傷物のDVDは読めないがデータ自体はそこにある

・人が死なないことで起きる問題とその解釈


などが、エビデンスをもとに書かれている感じ。





特殊部隊を非常訓練しておくことに関しては、

適度なストレスを与えておくことが書かれていて、

これに関しては、もうほぼ全て実践済みだ。

食事の質を上げて量を減らすとか、適度な運動するとか、寒さを与えるとか、有害なものを避けるとか。


なんでそんなに実践しているのか、というと、

避けれないリスクを人一倍もっているからだ。


年間のフライト量が、尋常ではない。

空港の検査場でのボディスキャナーや手荷物検査のX線で放射線を浴びる回数が相当多いのに加え、

それよりも多く浴びているのが、宇宙線という大気圏外からの放射線を大いに浴びている。


シンガポールという年中日差しのきつい国で暮らし、

都会ぐらしのため空気がきれいとは言い難い。


小さい頃から水泳をやってきたので、塩素で皮膚はやられていたし、

体が弱かったので薬づけの時代があった。


大学生の頃から毎日欠かさず大量のお酒を飲んできたし、

暴飲暴食の限りをつくしてきた。


ということで、減らせるリスクを減らすために、

できることを実践しているだけだ。




NADを増やすことに関しては、

この前書いたとおりだ。


著者はNMN派だそうだ。

私は去年までNMN、今年からNRを試している。

レスベラトロールも摂取し始めている。

ただ、メトホルミンは常用するのがまだ怖くて手を出していない。





人が死なないことで起きる問題点は確かに自分も気になっている。

そのひとつは、支配者が100年以上死なないで現役でいることの弊害だ。


瀧本哲史氏が著書のなかで言っていたことに、

「パラダイムシフトとは世代交代のことだ」とあった。


天動説が地動説に変わったのも、天動説の古い世代多数派がやがて全員死んで、

地動説派の若者少数派が人口動態的に多数派になっちゃった、という話。


正しい理論だから、とか説得でも論破でもなく、

単なる世代交代でしかパラダイムシフトは起こらない。

いかに正しくても、古くて間違った理論を一瞬で駆逐することはない。

50年とか100年とか長い時間で結果論でパラダイムはシフトするだけだ、と。


100年間死なないで現役の支配者が出てきてしまう世の中では、

パラダイムシフトはなかなか起こらなくなるんじゃないか。

権力や富を持つものはさらにそれを増すのだから、

より一層死なないだろうし。



その他にも問題点はいくつも挙げられていたが、

それは本を読んでみてほしい。


それでも、

そうだとしても、

人の健康寿命を伸ばす、老化を治療する、という夢ある部分に期待をしたい。


それだけの価値があるのだから。











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自分にも40歳がやってきた。

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